第9回登記塾(前提登記)

  今回は前回に引き続き、前提登記についてです。今回は主に売主ないし贈与者等(登記義務者)の方自身の原因による類型です。

1.住所移転

2.婚姻等により氏が変わった場合

3.住所移転後、住居表示の実施がされた場合

4.住居表示の実施がされた後、住所を移転した場合  など

 

1.の住所移転につきましては、売買や贈与等による所有権移転登記申請の前提としまして、所有権登記名義人住所変更登記を申請し、登記記録(登記簿上)の住所と現在の住所(印鑑証明書上の住所)を一致させる必要があります。また、登記記録(登記簿上)の住所から現在の住所に至るまで、数回にわたって住所を移転している場合もあるかと思いますが、その場合は、最終の住所移転(現在の住所地)をした日を登記原因の日付とし、登記申請書に数回にわたる住所移転を記載する必要はありません。具体的には、平成10年1月10日にA市の住所で登記記録がされている場合にその後平成15年1月5日にB市へ住所移転をし現在(平成20年7月7日住所移転)C市に住んでいる、といった場合です。この場合は、

            登記申請書

登記の目的  所有権登記名義人住所変更

原   因  平成20年7月7日住所移転

変更後の事項  住所  ○県C市○町○○番地

申 請 人  ○県C市○町○○番地

          法 務 太 郎

添付書類  登記原因証明情報 

 

以下省略

 

となります。中間の住所移転については、添付書類の登記原因証明情報で移転の経緯を明らかにします。登記原因証明情報の具体的な内容は、住民票の写しになります。ただ、上記のように市をこえて何回も住所移転をしているような場合は、現在の住民票の写しをとっても全ての住所移転の経歴が載ってこないので、登記記録上(登記簿上)の住所と現在の住所までの移転の経歴をつなげるために住民票の除票等をとる必要が出てきます。例えば上記のようにA市からB市そして現在C市へ移転している場合、C市でとった住民票の写しには前住所として、転出前のB市での住所しか記載されておらず、A市の住所は記載されていません。そこで、B市で住民票の除票の写しをとることにより、A市からB市へ住所移転したことが記載されているため証明できます。現住所のC市でとった住民票の写しとB市でとった住民票の除票の写しによりA市で登記されている売主ないし贈与者等(登記義務者)がA市からB市へ、そしてB市からC市へ移転したことが証明できます。したがって、登記原因証明情報として、C市でとった住民票の写しと、B市でとった住民票の除票の写しをそれぞれ添付することとなります。また、戸籍の附票を添付するという方法もあります。

 

 次に2.の婚姻等により氏が変わった場合です。この場合も売主ないし贈与者等の登記義務者の方は、所有権移転登記の前提として所有権登記名義人氏名変更の登記申請を行う必要があります。書式例は下記です。

 

            登記申請書

 

登記の目的  所有権登記名義人氏名変更

 

原   因  平成○年○月○日氏名変更 (注1)

 

変更後の事項  氏名 乙野花子 (注2) 

 

申 請 人  ○○市○町×番地

           乙野花子

 

添付書類  登記原因証明情報 (注3)

 

平成○○年○月○日申請 ○○法務局○○支局

 

登録免許税  金1,000円 (注4)

 

不動産の表示

   省略   

       

(注1)氏の変更の原因となった日。婚姻日や離婚日など。

(注2)現在の氏名を書きます。

(注3)具体的には、戸籍です。ただし、戸籍には住所は記載されておらず、本籍と氏名しか記載されていませんので、基本的には住民票の写し(本籍地の記載入り)も必要となります。

(注4)不動産1個につき1,000円です。

 

 

 次に3.の住所移転した後、住居表示の実施がされた場合です。

この場合も前提として所有権登記名義人住所変更登記が必要となります。

平成16年A市でA市の住所で土地を買い平成18年1月1日にA市からB市に住所移転し、平成20年1月10日に住居表示の実施がされたといった場合の申請書例は、

 

             登記申請書

 

登記の目的  所有権登記名義人住所変更

 

原   因  平成18年1月1日住所移転

       平成20年1月10日住居表示実施

 

変更後の事項 住所  ○○県B市○町○○番地

 

申 請 人  ○○県B市○町○○番地

           法 務 太 郎

 

添付書類  登記原因証明情報  非課税証明書

 

登録免許税 登録免許税法5条第4号により非課税

 

不動産の表示 

   省略

 

 次に4.の住居表示の実施がされた後、住所移転した場合です。

この場合、上記3.とほぼ同じ手続になりますが、上記3.との大きな違いは、登録免許税がこちらの場合は非課税とならず、不動産1個につき1,000円の登録免許税がかかるということです。

 

 今回は以上となります。続きは次回です。

 

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