民事再生

■概要
民事再生(ここでは、個人向け民事再生を指します。)とは、借金の返済が困難な債務者が、新しい借金の弁済計画(借金を圧縮、削減した内容の計画)を作成して、裁判所の認可を求め、裁判所から認可決定が出れば、その弁済計画に沿って弁済できる手続です。

民事再生には、小規模個人再生と、給与所得者等再生の2種類があります。それぞれ、民事再生を申立てるには、以下のような債務者の条件があります。

小規模個人再生を申立てる債務者の条件

①将来において、継続、または反復して収入を得る見込があること。
②住宅ローンを除いた借金の総額が5,000万円以内であること。


給与所得者等再生を申立てる債務者の条件

①将来において、継続、または反復して収入を得る見込があること。
②住宅ローンを除いた借金の総額が5,000万円以内であること。
③給与等の定期的な収入を得る見込があり、その変動の幅が小さいこと。


新しい弁済計画では、、以下のように、借金の額によって最低限支払わなければならない金額(最低弁済額)は異なります。

住宅ローンを除く借金総額
最低弁済額
100万円未満
借金の総額そのまま
100万円~500万円未満
100万円
500万円~1,500万円未満
借金の総額の5分の1
1,500万円~3,000万円未満
300万円
3,000万円~5,000万円未満
借金総額の10分の1

しかし、上記はあくまでも最低弁済額ですので、実際に債務者が多くの財産を持っていた場合等は、最低弁済額は上がります。

給与所得者等再生の場合は、上記の金額と、2年分の可処分所得額の金額とを比べて、高いほうの金額が、実際の弁済額となります。
2年分の可処分所得額とは、民事再生を申立てる2年前の収入の合計から税金等を引いたものを2で割り、そこから、最低限必要な生活費などを引いて、残っている金額を2倍したものです。

住宅ローンについては、特則があり、その特則を利用することにより、返済計画を見直した上で全額を支払う計画を立てます。
これによって、住宅を所有しながら経済的再生を図ることができます。

■手続
債務者から受託をした司法書士は、まず債権者に対して受任通知を発送します(破産、任意整理、特定調停の場合も同じです。)。これによって、債権者からの取立て行為は無くなります。それとともに、債権者と債務者との取引履歴を請求します。
債権者から送られてきた取引履歴によって、利息の再計算等を行い、残債務額を把握します。
債務者の意向と現状を踏まえて、民事再生の手続を選択します。

必要書類を準備して、管轄の地方裁判所へ再生手続開始の申し立てを行います。これによって、再生手続開始が決定されます。この時もし、債務者の財産に差押等の手続が進められている場合、その差押は再生手続開始決定によって中止されます。

債権届出期間が設けられ、再生申立て時に地方裁判所へ提出した債権者一覧表に記載されている債権の内容に争う意思のある債権者が、本来主張したい債権の内容、金額等を届けることが出来ます。
その後、債権者、債務者の異議申し立て期間を経て、債権額が確定します。

債権額が確定しましたら、その債権の弁済計画(今後の返済プランで、再生計画案と呼びます。)を作成して、裁判所へ提出します。

小規模個人再生の場合は、債権者からの反対意見が出るかどうか待ちます。これを債権者による書面決議の手続と言います。

給与所得者等再生には、債権者による書面決議による手続はありません。

このような手続の後、最終的に裁判官によって再生計画を認可するかどうか決定されます。法律で不認可事由がいくつも定められており(例えば、最低弁済額が自分の持っている資産より少なかったり、将来継続的に反復して収入を得る見込が無い場合等)、これらに1つでも該当すれば認可決定は、なされないので注意が必要です。

裁判官による認可決定が確定すれば、再生計画に沿って、弁済(支払)を再開します。

■手続終了までの期間
再生申立てから、認可決定までは、概ね4~6ヶ月くらいが平均的な期間です。実際には、相談を受けてからの準備期間をみれば、7~9ヶ月くらいの期間がかかります。

■民事再生をすることによるメリット。

  1. 住宅等の一定の資産を手放さなくても、債務整理が出来ます。
  2. 返済計画の見直しにより、借金の圧縮、削減が出来ます。
    任意整理と異なり、元本の削減も出来ます。
  3. 手続中に債権者からの差押えは、ありません。

■民事再生をすることによるデメリット。

  金融機関からの融資を相当期間受けられなくなります。
※信用状態が回復すれば、融資を受けることも可能です。また不動産を購入することも可能です。

  1. 破産と異なり、借金は残りますので、今後、支払いが必要です。
  2. 債務整理で最も時間のかかる手続きです。